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お約束どうり
お待ちかねの劇評です。
さて、高校フェスが終わりました。
今年は12校の熱演が繰り広げられました。笑いあり、涙ありの充実したフェスでした。
やっぱり、春一発目のフェスであり、新入部員の頑張りが目立ちました。
皆さんの感想、もちろん大学生フェスのものでもOKです、掲示板に想いのたけをぶつけて下さい。
僕は残念ながら水産高校を遅刻で見逃すという大失態のせいで、全部見られませんでした。斎藤先生ほんとにごめんなさい。
僕個人は城北と城ノ内が楽しませてもらいました。どちらも的確なねらいや計算が、とても気持ちよかったし、笑ったし、好感が持てました。

さて、約束通り、村端先生が、僕は冗談のつもりで言ったにもかかわらず、まじめに劇評を書いてくれました。日本一短い劇評。短歌形式で。
その一部始終を公開します。さすがに短いので彼の劇評(あくまで彼がつくったもの)に、僕の考えもちょこっと書きます。

●市立高校 「MIZZIRO OTOMESPLASH」 脚本・小林マキシマム

○短歌  「動作・位置 あらゆるものが説明的 リサがうなずく ラストは大嘘」

シンタロヲ  「今回のフェスで芝居のできの命運を分けたのは、脚本の理解と素材の料理につきるのではないでしょうか、登場人物の関係性や、心理をグラフィカルに提示する試み自体は必ずしも間違いではないと思いますが、不必要また、不正確に説明してしまうことは、観客にとって想像シロをとってしまう行為であり、かえって劇をつまらなくしてしまいます。しかも正しく説明する分にはまだよくて、解釈を謝った説明は劇自体を成立させなくなってしまいます。作り手が自分なりに劇を解釈すること、またそれを一番明確に伝える方法をいろんな方法の中から選び取れるように用意することを、作り手、演者、その双方が意識することが必要になるのではないでしょうか。」

●城北高校 「だるまさんがころんだ」 脚本・中川尚+城北高校演劇部

○短歌  「演劇の ツボを押さえて平均点 段取りをたどる キャストがだるま」

シンタロヲ  「今回のフェスのポイントである素材の料理が非常に光っていました。今できることをできる限りやる。キャストに合わせて戯曲を書いた中川先生も、背伸びせずに等身大で演じたキャストの皆さんもすごく好感が持てました。ただあえて一言言わせてもらえるならば、ステージング、戯曲、演技、それらにもう一癖、もう一ひねり、もう一技あれば、癖のある素直さというとても強い武器ができるのではないかなと思う大人の汚さ。素直さと小技は同居できるという僕の願いとともに」

●城西高校 「もんじゃ焼き」 脚本・演劇部+紋田正博

○短歌  「バラバラで 観ている方がバラバラに ヘトヘトになる みんなが観たい」

シンタロヲ  「僕が思うに紋田先生の芝居を完成させる最大の秘訣は、限界までやる。につきると思う。手押し車で息一つ乱さないのは、スタミナがあるからではなく、限界じゃなかったからではないだろうか。筋云々、台詞云々の前に、下準備が終わってなかった気がした」

●阿波高校 「ドライライブラリー・前編」 脚本・阿部信太郎

○短歌  「本編の 流れを無視した飛び道具 本に書かれたことできてから」

シンタロヲ  「ここで言われている飛び道具とは、スコップや狂言風台詞回しのことです。誰がやってもある程度威力のある芸のことを飛び道具と表現してます。発想は面白い、でも意味はない。今のままだと前半はスコップ芝居と思われても仕方ないのではないでしょうか、この芝居はあくまでも会話劇です。是非会話で笑いをとってほしかったです。」

●城東高校 「ドライライブラリー・後編」 脚本・阿部信太郎

○短歌  「バカっぽい はずの陽子が理性的 それじゃラストに つながらんだろう(字余り)」

シンタロヲ  「作者の弁としてこの芝居のテーマはバカは地球を救うです。これをクリアするにはみんなちょっと賢すぎるかなと思う。もっともっと台詞とバカを研究してほしい。あともう少し台詞を大事にしてほしい。テンポを稼ぐことと台詞をはっきり聞かせることはきっと同居できると思う」

●小松島西高校演劇同好会 「メグレスの憂鬱 ~気弱な強盗とバカップル~」 脚本・INDY

○短歌  「演劇の枠を無視したバカらしさ 楽しそうだし これでいいかな?」

シンタロヲ  「これまた素材勝負でした。すごく素朴で好感演劇だったのですが、結局扱うネタがつまらなかったです。ただ、もっともっと多くを求めたくなる素材でもありました。」

●水産高校 「笑いの大浜海岸」 脚本・水産高校演劇部+斎藤綾子

○短歌  「寝過ごして 途中から観ました ごめんなさい だけどラストでジーンとしました」

シンタロヲ  「問題外です。本当に申し訳ない。ただ伝え聞いた話ですが、結局素材を生かすこと、その生かされた素材、双方のすばらしい出会いだったと聞いています。どちらもきれいにかみ合っていて、すばらしい芝居だったみたいです。残念。」

●富岡東高校 「ロケットペンシル」 脚本・阿部信太郎

○短歌  「エリアわけ・音響無しの転換は 練習不足か 演出不足か」

シンタロヲ  「演出の大きな仕事のうち、ダメだし、芝居をわかりやすくすること、この二つは手がけた芝居に対して大きな意味を持ちます。転換のある芝居、わかりにくい芝居、これらの芝居のとき、演出の仕事がよくわかります。作り手と演者の信頼関係は芝居には絶対不可欠ですが、作り手に頼りすぎるのもどうでしょうか、ある程度仕事を両者が受け持つ姿勢が必要だと思います。」

●城南高校 「BUKAZ TIME」 脚本・小林マキシマム

○短歌  「台本の 意図する部分を汲まずには 歌やお菓子は邪魔になるだけ」

シンタロヲ  「この芝居は素材の料理を失敗した例でしょう。自分でいうのもなんですが、結局生徒に会う本がかけませんでした。あと、状況を作り込んだ分、内容がついてこなかっただけ、損をしてしまった、とても残念な例でもあります。会話劇なので、台詞をもっと大事にしてほしいです。」

●鳴門高校 「Growing Flowers」 脚本・東條優紀

○短歌  「フワフワと 台詞漂い 伝わらない 嘘を紡いで関係紡がず」

シンタロヲ  「この芝居はフェスで一番演者が泣いていた芝居でした。ここで日頃自分が泣くときのことを思い出してほしいんです。また、映画やドラマを観て自分が悲しいと思ったときのことを思い出してほしいんです。ここでは韓国ドラマは除外します。あれはいけません、すぐ泣く。一話で3回は泣く。悲しいことを悲しく描かない方法を模索してほしいと思います。チェジウが泣くのは撮影がきついからであって、必ずしも役に入って泣いているわけではないと言うことです。演者が率先して悲しがることで必ずしも感動を与えるとは限りません。問題は悲しいストーリーをいかに伝えるかではないでしょうか」

●城ノ内高校 「CYCLIST - シクリスト-」 脚本・大窪俊之

○短歌  「漕ぐだけで 胸熱くするドラマ描く スパイス効かせたビビッドな舞台」

シンタロヲ  「このフェスで一番巧みな芝居だったと思います。ダンスが中途半端だとか、実況が甘いとか、歌舞伎がポくないとか、いろいろ言われていますが、僕はこれらはすべて計算だったと思います。ねらったものがきれいにはまる快感と、はめられる快感、これ以上に作り手が得られる快感があるでしょうか。進化する大窪劇に激しく期待します」

●板野高校 「ただ今死に神業営業中!」 脚本・山本亜耶

○短歌  「面白いと 思ってやれば笑えない チャイムの音が正直うるさい」

シンタロヲ  「これは高校演劇のフェスなので、高校生をターッゲットにしたとき、この芝居はこれで良かったのかもしれない。劇自体は特に破綻なく、練習もつまれている。しかしはっきり言って僕にはつまらなかった。メッセージのない楽しい芝居もいいかもしれないが、借りてきたギャグに借りてきたメッセージ、ありがちな設定、伝わらないし、笑えません。高校演劇は高校生がする芝居ですが、もう少し自分の世界や、表現したいことを掘り下げて、つくってくれればいいのになぁと思いました。」


ふぅ。正直3時間かかってしまいました。
高校生達が芝居作りに費やした時間に対してあまりにも短い時間ではありますが、いい点悪い点を、是非今後の芝居作りに生かしてほしいと思ってます。
協力してくれて村端先生、どうもありがとうございました。
# by resimple | 2005-06-21 03:56 | 劇評
ずいぶんご無沙汰で
アレなんですけど。
森フェスが始まっております。

さて、いきなりなんですが、

今日本で一番面白い劇団は?

と聞かれたら僕はこう答えるでしょう。

それは大学生です。
別にうまいこと言うつもりも、引っかけでもないですけど。そう思います。
面白いお芝居をつくろうと思えば、それなりに時間がかかりますし、やっぱりお芝居は体力です。日本で一番体力と時間を持っている人種、それはもちろん大学生です。
大学演劇というカテゴリーは、今日本で一番面白いと思います。それは、高校演劇にはない、自由さと、ダイナミックさ、大人の知恵と、子供の無邪気さを兼ね備え、プロになるという野心を、また、もっと気楽な楽しみ方を知っている大学生の芝居。これこそが日本で一番面白い劇団なのではないでしょうか。
しかし、大学演劇はとかく自己完結で、自己満足なものになる傾向が強い。それは何故かというと、指導者がいないからでしょう。大学演劇では明確な指導者はいません。ある意味先輩がそうなんでしょう。つまり、ある程度の知力と経験がある分、指導者無しでも芝居が作れるのですが、それが不幸にも面白くないものであったり、お芝居通には通用しないものであったりする場合があります。お芝居に明確な作り方や、カタチはありませんが、それでも、ある程度のそれは確実に存在します。温故知新も十分通用するメディアなのです。いろいろな知識が複雑に絡まり合ったものがお芝居の底には必要だと思うのです。
だから、自分が、指導者で、自分が学ぶ対象であらねばいけないと思うのです。より面白いお芝居を探求してほしいなぁと思います。
もっともっと大学演劇が面白くなればいいなと思っています。そうして、高校生が刺激をうけ、大人が刺激をうけ、もっともっと根深いシーンが形成されればいいなと思っています。
来年が今から楽しみです。

さて、今週末は高校演劇フェスです。
今頃最後の追い込みでしょうか、出演校の皆さんは最後まで頑張って下さい。今年は10校参加です。新入生を迎えての最初の一歩。今から僕もわくわくしてます。

さて、今や恒例の劇評ですが、僕は超個人的な理由で今年は書きません。とてもじゃないけど、客観的にみれる気がしない。
しかし、ご安心下さい。僕の友人の富岡西の村端賢志先生がやってくれるそうです。長文が苦手ということで、短歌形式で。なんてハードルの高い申し出でしょう。そちらもお楽しみに。
# by resimple | 2005-06-15 22:05 | 報告
わかった
こうしよう。
僕自身放置しすぎたと反省しています。
これからは隔週で更新していきます。っていうか、これ書きます。
いいえ、全然忙しくはありません。
ただ怠惰なだけなんです。

再来月の6月には森フェスも控え、ネタには事欠かないので。
取材とか、最新情報とか、伝えて行きます。
と、意気込んで負担になるとまただるくなるので、ぼちぼちやります。
まかせてください。
# by resimple | 2005-04-24 02:11 | 報告
丸亀「孫たちのキョウソウ曲」(高岡綾乃 作)
物語の中心的人物を不在にする。
最近流行の不在演劇です。どこではやっているかというと、僕の中です。不在演劇も勝手に今名づけました。

不在演劇で記憶に新しいのが、前回の四国大会の川之江「眠る葉子」です。その前の「パヴァーヌ」もそうでした。実は川之江はこの不在が実にうまい。たとえば、東雲の「同級生」も不在を描いています。

そう、そして「孫たちの~」ももちろん不在を描いている。
不在の面白いのは、その不在の相手を語る、もしくはその相手に対するスタンスを見せることで、その当事者のことがより明確に見えてくることです。不在者との関係、不在者に対してどうおもっているのか、不在者を取り巻く人物たちとの位置は、と、いないことにより、いる人物の見え方を通して不在者の人物が見えたり、その当事者が見えたりするのが不在の面白さの一つでしょう。そして、不在者の推測という観客にとっての付加価値が付随されるのです。想像力がかき立てられるのです。

され、そして、この芝居の場合。
不在はおじいちゃんです。劇中何度も語られるおじいちゃんは、きっと下の階にいるのでしょうが登場しません。このおじいちゃんを不在にして、孫たちが語るおじいちゃんから、おじいちゃんの人物像が見えてきます。そして、孫たちのスタンスも当然まちまち、おじいちゃんこの主人公、ほぼ興味のない兄、そして、さらに興味のない孫たち、そして好きなんだけど、年齢的にそうは素直に言えない一人の孫娘、受験に必死になる浪人生の孫娘、そして、兄目当ての関係ない他人の女の子。
まちまちと書いたけど、実はそんなにまちまちではない。実は、好き、そうではない、嫌い、このくくりでたいがい当てはまってしまうところに、この芝居の惜しさが一つある。
一人の人物を描く場合、いろんな側面から語らなければ浮かんでこない。いい面もあれば、悪い面もある、人とはそういうものだから。しかし、劇中、おじいちゃんは、このおじちゃんこによりいい人、いい人、いい人、としきりに形容される。いろんなエピソードが語られるにもかかわらず、おおむねいい人なのである。であるなら、そんなに繰り返されるまでもない。多角的、双方向的に述べられなければ、やはり人間として血が通いはしない。
不在者を真ん中に置く場合、多角的に不在を語らねば中心空洞のまま芝居が進むことになる。もちろんここで語りたいのは祖父の人柄ではないだろう。そんなことはわかっている。孫である、孫たちはもちろん祖父とは肉親である。血が通っているのである。であるのらば、もっと多角的に祖父を描けたのではないだろうか、いや、ほっといてもそういう人柄の祖父が倒れたら胸が痛い。しかし、そこどまりである、倒れたあと、どう描くか、これも不在の面白さである。
たとえば「眠る葉子」では、葉子にたいして登場人物たちのスタンスは、一言では表せない、至極複雑である。その母さえも、複雑である。いや、複雑にしろと言う話ではない。あくまでも見せたいのは登場人物たちなのだ。であるなら、多角的に祖父を語る、祖父との関係を語る、もしくは語らない、そういう見せ方をもう少し考えてほしかった。いろんな孫たちが、病気がちな祖父のいる、この家に集まった、おじいちゃんこの娘はおじいちゃんが大好き、でも他の孫たちは・・・という、状況をもう少し見せてほしかった。
おじいちゃんは倒れ、キャンプもなくなったけど、でもみんなおじいちゃん好きじゃん。では、どうにも物語としては歯切れの悪さを否めない。

と、作者が僕と同年代ならこういう風に言いたい。

しかしこれを書いたのは高校生である。なめていっているのではない。そのモチベーションの高さをいっているのである。その目指すべきものは完璧に大人作者と変わらないであろう。正確には忘れたが、何人もの登場人物が出てくる。年齢もわちまち、やや形式化したキャラ設定であるが(双子、虫マニア、不良)その書き分けは見事である。スタンスも甘いとは言え、明確に狙って書いている。
そしてセットである。どうやら隣、あるいは離れた設定の二部屋をステージ上に再現している。そして、これはもうびっくりしたのだが、クローゼットの中まで作っている!エアコンついている!ドアももちろんある!!!!到底高校生だけで考えたとは思えないステージング、モチベーションの高さとは恐ろしいものである。

しかし、作りこみとは別にプランはやはり甘い。同時進行ではないにしろ、二部屋見せるのであれば、見せるなりの工夫が必要である。片一方の部屋で展開するとき、もう片一方は見えているのだが、普通なのだ。話しているのに、声は殺している。部屋の焦点が変わると気に声がでる。これなら二部屋の意味がほぼない。同時に見せる面白さがあるはずなのに、そこには意外と気が利いていない。せっかく二部屋なのだから同時に進行してもよかったと思うし、同時に声が出ても良かったと思う。ここがまず甘い。
そして、散々講評で言われていたが、演技の嘘の一つ、声の大小。
とにかくでかい。僕も高校時代散々先輩に、客席の一番後ろでも聞こえるように声を張れ!といわれた。確かに一番後ろでも聞き取れる明瞭な音量だっただろう、でも隣の子に話すのにそんなでかい声いらないだろといくらい大きな声で話す、それでは、隣の部屋に呼びかける声との区別がつかないし、叫ぶシーンが利かない。
セットの作りこみ、プランの面白さ、に対してバランスが悪いほどの配慮のなさ、いや、逆に、観客に対する完全なる配慮だったのかもしれない。聞こえるように聞こえるように、と。しかし、実際ホールの構造は、ささやいても後ろまで聞こえるのがいいホールだと僕は教えられたし、実際そんなに張らなくても聞こえるものである。
そして、クローゼットの中を作りこめるのに、二部屋の面白みにはほぼ無配慮、一応声を殺す配慮をしているが、むしろその配慮がなくても良かったと思う。さらに、部屋と部屋の焦点が跳ぶのだが、会話が跳んだところからスタートのときもあるし、会話が跳んだあと全然別の場所からスタートのときもあった。会話の流れの話。こういう状況は観客に混乱を生む。
モチベーションや、目指す場所は非常に高い場所である。しかし、アンバランスさを否めないのが非常に惜しい。でもリハーサルの時間は驚くほど短く、なれないホールで芝居を打つのである、そういう状況での公演の場合、ミスと呼ぶには少し酷であろう。

高校生創作なんだからこれくらいでいいんじゃないのなんていうつもりは毛頭ない。四国大会という場で各県の強豪と戦うのである。ステージに上げれば高校生だろうと、大人だろうと関係ない。そういうハカリに乗るのである。この作品は果敢にチャレンジした作品だっただろう、しかし、高い作品にはリスクはつき物である。試みが面白ければ、面白いなりの演技やアイデアが要求される、そういう意味では、やや物足りない作品であった。しかし、この生徒たちのモチベーションの高さは完全に他を抜きにでている。いい芝居はきっといい精神から生まれるのだろう、僕はそのことを教えられた。
# by resimple | 2005-01-07 23:04 | 劇評
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